くさ枕

五月雨も 節度をなくす 令和かな

お店にいながら、くだらないことを、こう考えた。 

 知恵に頼れば、角が立つ。情報に棹させば流される。義理を通せば窮屈だ。とかくこのご時世は住みにくい。 

 住みにくさが高じてくると、安い所に引き越したくなる。どこへ越してもコロナだと悟ったとき、引きこもりが生まれて、AIが出来あがる。 

 人の世を作ったのものは、神でもなければ、GAFAでもない。やはり向う三軒両隣にちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が、安心安全でないからとて、越す国はあるまい。あれば、人が管理しないロボットの国へ行くばかりだ。病院の無菌室のような国は人の世よりもなお住みにくかろう。 

 越す事のならねご時世が、住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容にくつろげて、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならね。ここに着物ドリーマーズという着物屋が出来て、所作を考えるという使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、ひとのこころを豊かにするのなら、尊い。 

 住みにくきこのご時世から、住みにくき煩いを引き抜いて、ありがたい世界をまのあたりに写すのが、人の心であり、生きている身体である。あるいは、唄であり、絵であり、演劇である。こまかに云えば、何もしなくとも、ただまのあたりに閑かに身体をみれば、そこに詩も生き、唄も湧く。着想を紙に落とさぬとも、素晴らしき音づれは胸裏に起こる。

 

このの文章は、言わずと知れた、夏目漱石さんの草枕の冒頭の文ですが、どうしても、哲学的、ていうか、明治っぽい。こうして、欧化啓蒙主義と混ざり合いながら、日本の文化というものが、西洋的に姿を変えていく過渡期だったのでしょうね。

意味のないブログでした。笑。皆さんも適当に自分の言葉に直すと面白い文章ですよ。

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