所作塾 No16

世間では、「目標を明確に持ちなさい!」と、常識的に上の人から、下の人へ、忠告されるわけですが、そして、その目標に向かって、脇目もふれずに努力しなければならないわけです。そして、その結果が、得られないのは、その人の努力が足りないわけで、もう一度自分を見直すための相関図↓にもなります。こうした考えの基本の根底にあるものは、因果論だと思います。これは、ネット上で書かれていたものを拝借しました。こういう相関図みたいなのはビジネスとかで、良く出てきますよね。

結果 result

行動 action

選択 options

認識 awareness

意識 attention

意図 intention

考え方としては、わかりやすくて、精神論をかたるには、とても有意義な図なのかもしれません。ただ、見落としてはならないのは、自然界では、一般的にエントロピーは増大方向にありますので、結果から原因を特定できても、その原因からスタートしても、同じ結果は得られないと思うのですが、、、なんか僕、おかしいこと言ってますか?笑

しかも、この相関図の考え方は、平穏時に限られます。何か、突発的な事故に遭遇してしまったら、意図とか意識は簡単に飛ばされてしまいますね。もっと酷い場合は、認識も選択も無いでしょう。さて、どうしましょうか?

例えば、百歩譲って、この通りの人生だったとして、ですね。それって、楽しいの?それって、芸術を産むの?それって、感動するの?それって、AIロボットじゃないの?

そして、目標というものに精神をロックオンしてしまうと、軌道修正が難しくなります。政府とかが好きな、誰も責任を取らなくて良い、縦割り行政じゃあないけど、決まったことは、たとえ環境を破壊しようとも、経済的損失を受けようとも、人々の健康を害しようとも、変えられません!みたいなね。まあ、国は良いですよ、直ちに滅びないから。でも、たった一度の人生ですからね。ひょっとしたら、慎重にしたほうがよいかもです。もちろん、目標にしがみついて、がむしゃらに生きるのも人生だと思います。そういう題材の映画も良くあります。僕だって、こんなに向いてない俳優を目指して、もう辞めることもできない年齢になってしまったわけですからね。(そんなにがむしゃらでもなかったのですけどね。)やばいですよね。笑

所作塾には俳優さんがたくさん来てくださっていますからね。悪い入れ知恵してしまうのですが、演技をするときに、こういう相関図みたいな役作りをしろと演出家や先生に言われるかもしれないけど、たぶん、実際にやってみたら評価は低いと思いますよ。そんなのは、わかりきったことですよね。だって当たり前なことに、人間性はありませんし、だれも感動しませんから。

でね。こうした因果論って、もう五千年ぐらい続いている一般常識みたいに、浸透していますが、たぶん明治以降でしょうね。ちょっと科学的根拠があるみたいで、格好いいからですよね。インテリっぽいですよね。もうこんなことを書くと、どんどん読者は減りますが、だって、ちまたでは、因果論が絶対的な常識になっていますからね。早く謝っておいた方が良いですよって、心の中では、思っています。はい、ごめんなさい。

だから、目標は大事だよって、それは、否定しませんよ。でもね、それは絵に描いた餅かもしれないですよ、ぐらいな事は、知っておいたほうが、良いかもねということです。そして、大きな目標よりも大事なのは、その場その場を切り抜ける即興性であり、想定外の事がなくなる状態への集中観を知ることじゃないのかなと思うのです。失礼しました。

武士のならいというか、所作塾的に、言うならば、というかやろうとしていることは、こういうことです。目標を作り込むのは、精神集中の世界の話なので、身体とは、なんら関係がありません。つまり、目標をたてるのは勝手ですが、それは、身体活動の邪魔にしかなりません。身体集中は、太古の昔から蓄積された身体の中にある暗黙知を引き出す即興性の世界になります。文化の無い身体は存在しないと光岡英稔さんがいわれたように、身体から生まれる即興性こそが、文化になり得る。つまり芸術を内包するわけです。私たちは、人間として生まれたからには、少しは人間らしくありたいと願うわけで、もちろん、価値観の違いにもよりますが、たった一度の人生ならば、身体の持つ未知の即興性に触れられる瞬間を味わって見たいと思いませんか??

人生は、意図したことの連続では無く、ふと(不図)したことの連続である?

次回の所作塾は、10月の28日月曜日です。よろしくお願いいたします。

 

 

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