所作塾No14

所作は、身体を意志では無く、感覚を通して、扱うことで、命と真摯に向かいあう行為の一つとなりえます。
どうして、それが生命と向かう行為なのか?それは、一度に説明出来るほど、簡単な話では、ありませんよね。当たり前です。だから、だいたい与太話だと思って、読んでください。笑。
命は、感じることも、見ることも、触れる事も、できません。でも、誰にでも命があることは、分かっているし、それが、一番大事だってことも知っています。この感じられない物を、感じるために、一般的な理解の仕方として、「生」とは、反対の「死」をもって、感じ取ろうとします。私たちは、「死」を目のあたりにして、はじめて生きていたんだと実感するというわけです。身内の人が死んだり、仲の良い友人が死んだり、また、戦争や殺人、病死などを目の前に突きつけられたとき、「生」について、真面目に考えるし、人生に真摯に取り組もうと決意を新たにするわけです。
話は、少し飛びますが、スポーツの世界で言われ始めました。「フロー」とか「ゾーン」という言葉、聞いたことがあると思います。このある状態に、入ると自分の能力を超えて活躍できるわけですが、その入り方といって、親切にいろいろとネットで検索すれば、出てきます。そんな「フロー」とか「ゾーン」に簡単に入れるとは思いませんが、方法が説明されています。でも、そのほとんんど全て精神論で書かれていますので、注意が必要です。例えば、あるサイトでは
・明確な目標
・外部からの刺激に左右されない
・没頭すること
・好きなことをする
・難易度の高いことをする
こんな感じです。これで、「フロー」とか「ゾーン」に入れるなら簡単ですよね。普通じゃない?って、言ったら言い過ぎですね。ごめんなさい。
だから、こういったサイトを読んで、解決出来る人は、最初から出来てる人?じゃないですか?。なぜなら、書かれていることがすべて、精神論だからです。「フロー」とか「ゾーン」は、精神論からは、入ることは出来ないと思うのですが、、、。どうでしょうか?
一方で、エクストリームスポーツは、死と隣り合わせなので、生き残るためにフロー体験が、必須の条件になってくるというわけですが、それは、精神論ではなく、現場で、感じとった説明が難しい、体験なんだと思います。
書籍「超人の秘密」より
ある動作をしなければならないとき、その直前に、どうすべきかをボイス(直感の声)が教えてくれるんだ。それが間違っている事は絶対にない。ボイスが何かをしろと言ったら、するしかない。そのときは、考えてもいけない。質問もなし。ボイスの言うとおりにしなかったら、死ぬことになる。私はそのことを、クライミング人生のかなり早い段階で学んだ。
では、このボイスとはなんだろうか?カール・ユングは直観を「無意識による知覚」と定義したが、このボイスは、その知覚の最終結果だーつまり、無意識がそこで知覚したことを意識に伝えているということだ。
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これが、ゾーンに入った一つのかたちかもしれません。ただ、ここでも、「生」に対して「死」を意識することで、その極限状態から、ゾーンを引き出しているわけで、あまりお勧めできる内容ではありませんよね。もちろん、著書のなかでは、エクストリームスポーツをしろと言うことではなく、それを科学的に解釈しようと試みているわけです。そして、その結果は、先程の精神論と同じ様なところにたどり着くわけです。
科学的に解釈しようとすれば、すなわち、精神が主導権を握りますので、身体側からのアプローチが、分からなくなります。
室伏広治さんが、著書「ゾーンの入り方」で、興味深いことを書いてます。内緒で抜粋してありますので、気が向いた方は、どうぞ。
呼吸法が、あげてあるのですが、これは、身体側のアプローチになります。そして、何を試みているのかといえば、つまるところ、意識からの脱却ですね。普段どおりの呼吸は、精神が支配しているので、あえて、それを崩していくわけです。
はい、お気づきでしょうか?そうなんです。意識からの脱却と、身体感覚といえば、ジャジャーン、それは、所作なのです。私たちは、死を前にして、生を感じる瞬間と、同じ様な状態を所作という日常的な行為を通して、作り上げることができるかもしれないわけです。これで、「フロー」とか「ゾーン」いうことが、スポーツの世界だけではなく、芸術の世界へと幅を広げる可能性を持つことができるわけなんですね。極限状態を作って、結果を残すスポーツではなく、静的な環境で、「フロー」とか「ゾーン」を作り、入り込むことによって、生命というものに、真摯に向き合う瞬間を共有できるわけです。つまり、これが、芸術の世界のからくりですよね。そのアプローチのもっとも、身近にあるものが、所作というわけなのですが、一度、試してみませんか?
テーマが壮大すぎて、与太話にしか聞こえない件について、でした。笑
次回の所作塾は、7月29日月曜日19時からです