意図しないこと
脱科学を目指すのが身体演技だと言ったわけですが、いきなりの難関ですが、
まず、意図しないこと
そんなことが可能なのか?まあ、無理なので、意図しないように意図するわけです。笑
かなり難しい問題だけど、現実生活は、意図しないことのが多いわけなので、普通に自然であれば、それだけのことなんですけど、実際にやろうとすると難しい。無理でしょうということになるんですけどね。ここを斬り込んでいこうというのが、身体演技になります。
現代演劇では、
俳優は、役の演技プランを作り(役作り)、その作品の物語にそって、正確に一人の人物を表現することを求められる。
演出家や監督もしかり、作品を意図したとおりに組み立てて表現すること、俳優には意図したとおりに演じてもらうこと、それがプロの仕事ということだと思います。
そのように進められるし、そこに疑問も持たないのが普通です。非常に計算された、面白いエンタテインメントが出来上がると思います。
ただ、なにか物足りないものを感じる人がいるかもしれないですが、現在は計算された方が、支持されている演劇スタイかもしれませんね。
例えば、カリブの海賊のジョニーディップのお芝居とか、本当に計算され尽くされていて楽しいのです。だから、彼の演技が素晴らしいと思う人は多いと思います。でも、あえてネガティブな側面を言わせてもらえれば、こうした計算されたお芝居は、演出も巻き込んでしまいます。その結果、計算から外れた俳優が、目立たなくなるという現象がおきます。カリブの海賊では、本来、主人公はオーランドブルームですよね。彼の存在感は失われます。それが、実力か?違いますよね。確実に意図された映画なのです。
先日コミケに行ったときに友達から聞いた、名前を忘れてしまったアニメの話ですが
あるアニメのキャラが、自分の本音と建て前が違いすぎることのギャップに悩んでいた。
ところが、そのことを打ち明けた、親友に言われたこと、それは、
本音と建て前が違うのは誰が見てもわかるけど、あなた、そう言いながら、全然違うよ、これがしたいんだよね と
自分も想像していなかった自分を言い当てられてしまう
そう、本音と建て前は、自分なりに意識していたが、無意識の自分は、もっと違っていたってことです。
そのことに、他人に言われて、初めて気がついたってお話でした。
つまるところ、本音と建て前までは、演技プランなのだが、誰も想像もしなかった、第三のキャラが出現する、このゆらぎとも言える何かが、ドラマを深くし面白くしているわけです。
このゆらぎに挑戦しようという試みが、身体演技の目指すところになります。
つまり、意図しないお芝居を意図してつくりあげて、無意識レベルを試みようという事です。
ここで、意見がはっきりと、わかれると思います
*しっかりとしたプラン通り芝居をするのが、好きという人
*このゆらぎってのを、試してみるのも面白いと思う人、幽玄の世界ですね
前者の人は、この先、身体演技は向いていませんので、ハリウッド方式の演技を勉強することのがお勧めです。
後者の人は、これから、長くなりますが、お付き合いくだされば、幸いです。
ありがとうございました!
*参考になるブログ 錐体系と錐体外絽系の運動