台詞のキャッチボール??

台詞はキャッチボールだなんて、言葉を聞いたことがあると思います。
もちろん、それで良いのだと思いますが、僕はちょっと違うイメージに変えた方が良いのではと思っています。
それは、台詞は、キャッチボールよりもリレー競技なんじゃないの?
キャッチボールですと、せっかく相手が力強く投げた球でも、それを受け取るのでスピードはいったんゼロになります。それをしっかり受け止めて、ボールを投げ返すわけですが、ちゃんと受け止めようとすれば、タイムラグが生じたりしますし、そのタイムラグを埋めるかのように、あらかじめ返球を用意してしまったりします。要するに、投げられてきた球は、どうでも良いと言ってしまえば、そういう考え方も可能ですし、段取りになりやすいのは、誰でも経験があることだと思います。そして、投げ返す球も、自分だけの力が頼りになりますので、つい一生懸命投げ返すことになります。
それに対して、リレー競技だとしたら。相手から来た台詞のスピードや力などを殺さずに、バトンを受け取るわけです。そして、しばらく併走のような状態から、自分の世界が始めるわけです。これだと、タイムラグは生じません、生じたらバトンを落とします。笑。相手から来た物をゼロにする事もありません。むしろその力を利用するわけです。それに自分らしさを足して、次の走者にバトンという台詞を渡すわけです。この場合、相手の力をそのままお借りするので、とても楽ですし、表現するということに余裕がうまれます。
どうでしょうか?こちらのが楽だと思いますし、自然だと思うのです。
キャッチボールだと解釈してしまうと、相手の台詞をそのまま受け取ったら、自分の演技プランが壊れてしまうと、思う方もいるかもしれません。僕は、逆にだから良いと思うのです、自分の演技プランなんて物は、だいたいがありきたりで陳腐な物です。それが相手がこちらのプランに力を提示してくれる訳ですから、とても有益だとおもます。それでも、それじゃ、あいてと自分の差が出ないからえんぎにならないのでは?と心配する人もいるかもしれません。でも、その心配は無用です、そもそも、相手が考えていることはだれもわからないのです。物語とは全然違うことを考えているかも知れない。そんなことは、わかり合えなのです。だから、どれだけ力を共有したとしても、キャラがかぶるということは、けっしておきないと思います。むしろ、自分で考えた演技プランのが、だいたいパターン化されているので、相手とかぶる可能性が大だと思います。
このことは、論ずるよりも実践して稽古すれば、経験できてすごくよく分かる事なのですが、だまされたと思って、試してもらえたらいいなぁ。笑