東京フィルムセンター12期 3年生

3年生の方々と初のご対面でした。お疲れさまです、おつきあいいただきありがとうございました。もう半年もすれば、卒業ですね。進路を決めながらの勉強ですね。いろいろと大変だと思いますが、頑張ってほしいです。よい事務所や、劇団が決まると良いですね。もちろん、この中からスターが生まれて、有名になったら、自慢させてくださいね。

30名を超えるクラスということで、ちょっと隅々まで、見ていられないところもありますので、気軽にわからないことがあれば、声をかけてください。もちろん、わからないことはわからないので、気にしなくていいです。稽古事は、本当のところ理解しないで進むことが、よいのです。いろいろなヒントを出していきますので、そのことで、ああでもないこうでもないと各自が試行錯誤するのが、一番身につくし、経験になると思います。まあ、それにしても、意味不明すぎることは、どんどん質問してください。笑

身体集中と精神集中について、やっているのですが、どちらが正しいとかいうのは、まったくありません。各自が、その場その場、または好みに応じて、取り組みやすいほうを選んだら良いと思います。ただ、精神集中については、小さい頃から、いろいろな場面で、教わってきていると思いますので、僕のクラスでは、申し訳ありませんが、たぶん誰も一度も教えてもらったことのがない身体集中について、解説させていただいています。もちろん、身体集中というもの自体は、何も特別なことはなく、普段日常的にやっていることなのですが、自覚に乏しいものですので、あえてピックアップして、説明している次第です。

身体集中について、生徒さんに質問したら、素晴らしい答えが返ってきました。「自転車に乗ること」!そうです。模範解答ですね。笑。つまり精神集中して、自転車に乗るひとはいません。みんな、なんの躊躇もなく、自転車にまたがるはずです。ですから、この時、自転車に乗れない人に、教えてよっていわれても、案外困るのです。だって、もう乗れてしまったので、どうやって乗れるようになったのか、もうわからないのです。そういうことです。野球で、バットの振り方を教わって、あれこれやってみるのですが、結局、最後は来た玉を打ち返すだけです、玉が止まって見えました。なんて、説明にもならないことで片付けられてしまうのです。

そういう演技の仕方もあって良いんじゃない?というのが、僕のやろうとしていることです。役作りと称して、あれやこれやと考えあぐんで、そして精神集中して現場に望んでも、うまくいかないことが多かったりするのです(僕の場合)。得られるのは、努力したという気持ちだけだったりして。ですから、精神集中と身体集中という二つのカードを持つことは、結構、有効な手段じゃないのかなって、思っています。

これからは、稽古場ではなく、現場に出て行くわけです。稽古事のような環境で芝居ができるとは限りません。もっともっと流動的で、なにが起きるかわかないのが現場です。ですから、想定外を作らないことが求められてきます。臨機応変に対応しつつ、自己のベストを尽くす。こういうことは、言葉でいうのは簡単ですが、わかっちゃいるけど、なかなか、難しいのです。ですから、あまり頭でっかちにならずに、どんな環境でも現場を楽しめるよう柔軟に構えてください。きっと、良いことがあります。自転車にでも乗るような気軽さで、壁を自分で作らずに演技してみてください。笑

 

 

 

 

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